会社員しながら毎日読書してます。masaです。
今回の記事は、
- 『夜と霧』から何が学べるのか知りたい
- 極限状態での人間の精神状態が知りたい
- 『夜と霧』を読んだ個人の感想が知りたい
- というか『夜と霧』ってどんな本なの?
という人におすすめの内容です。
読書好きな人は知っている本だと思いますが、日本ではあまりなじみ深くはないと思います。
ナチスの強制収容所がテーマの話なので、欧米では必読の書として有名だそうです。
『夜と霧』はこんな人におすすめ
- 生きる意味を見失ってしまった人
- つらい状態にいる人
- 人間とはどんな存在なのか知りたい人
それでは、まずは『夜と霧』がどんな本なのか説明していきます。
『夜と霧』について
ヴィクトール・フランクルについて
著者のヴィクトール・フランクルはオーストリアの心理学者・精神医学者です。
1956年に初版が刊行されました。
原題は「心理学者、強制収容所を体験する」です。
ナチスの強制収容所を体験したフランクルによって、心理学の立場から、極限状態での人間の心理が描かれています。
強制収容所での日々はまさに地獄で、
- 極寒の中薄着での肉体労働
- 貧しい食事(1日水のようなスープ1リットルとパン一切れ)
- 監視員からの暴力
- 疫病の流行
- 働けなくなったらガス室送り(死を意味する)
など、いつ死んでもおかしくない状況だったようです。
内容全体の雰囲気
『夜と霧』はナチスの強制収容所の壮大な地獄絵図を書いたものではなく、
強制収容所の被収容者の日常的な心理状態が書かれています。
本書で語られるのはあの有名なアウシュヴィッツ収容所ではなく、その支所「ダッハウ」でのことです。
ここで大切なのはフランクルは「心理学者として」強制収容所で働いたのではなく、
「ごくふつうの」被収容者として働いたということです。
フランクルは収容所生活のほとんどの時間を土木作業員として、あるいは鉄道建設現場の重労働者として働いていました。
本書の表紙の「119104」という数字はフランクルの収容者番号です。
『夜と霧』から得た学び
- 人間は何事にも慣れる
- 人間はどのような存在か
- 極限状態を乗り越える人とは
- 生きる意味とは
人間は何事にも慣れる
人間にはなんでも可能だというこの驚きを、あといくつかだけ挙げておこう。収容所暮らしでは、一度も歯をみがかず、そしてあきらかにビタミンは極度に不足していたのに、歯茎は以前の栄養状態のよかったころより健康だった。あるいはまた、半年間、たった一枚の同じシャツを着て、どう見てもシャツとは言えなくなり、洗い場の水道が凍ってしまったために、何日も体の一部なりと洗うこともままならず、傷だらけの手は土木作業のために汚れていたのに、傷口は化膿しなかった(もちろん、寒さが影響してくれば別だったが)。
引用:夜と霧
恐ろしい環境にも人間は慣れることができることを、フランクルは収容所内で気づきました。
いつ死んでもおかしくない環境だったのにもかかわらず、健康状態は良かったのです。
たしかに、僕の友人にも厳しい環境で仕事している人がいます(強制収容所よりはましでしょうが)。
友人の職場は早朝から深夜まで働いて毎日怒号が飛び交う現場です。
そんな環境で友人は5年以上働いています。
友人いわく、「キツすぎて感覚が麻痺してくる。ちょっとしたことでは動揺しなくなった。」そうです。
さらに友人は肌ツヤがよく、とても健康的に見えます。
これが”慣れる”ということなのでしょう。
友人は月の残業時間が200を超えるって言ってましたね。。。
学び
どんなにつらいことでも人間は耐えられる。
なので、未来のことに必要以上に不安にならなくていい。
ナチスの強制収容所よりもつらいことなんてまずないのだから。
人間はどのような存在か
わたしたちは、おそらくこれまでどの時代の人間も知らなかった「人間」を知った。では、この人間とはなにものか。人間とは、人間とはなにかをつねに決定する存在だ。人間とは、ガス室を発明した存在だ。しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りのことばを口にする存在でもあるのだ。
引用:夜と霧
人間は無意識にせよ意識的にせよ、常に何かを決断しています。
朝起きるとき、ご飯を食べるとき、仕事をしているとき、善いことをするとき、悪いことをするとき。
フランクルは収容所生活で善人と悪人を見ました。
監視員側にも優しい人はいたし、被収容者側にも盗みを働く悪い人はいたようです。
人間には「善人」と「悪人」の2種類が存在し、彼らが善いことをするときも悪いことをするときも常に「決断」があることを発見しました。
人間は常に「やる」「やらない」の2択から選んでいます
学び
人間が選択を迫られたとき、良い方にも悪い方にも決断することができる。
そしていつだって、良い方を選択することができる。
極限状態を乗り越える人とは
自分を待っている仕事や愛する人間にたいする責任を自覚した人間は、生きることから降りられない。まさに、自分が「なぜ」存在するかを知っているので、ほとんどあらゆる「どのように」にも耐えられるのだ。
引用:夜と霧
収容所で生き残った人間というのは若い男でも体力のある男でもなく、
未来への希望を失わなかった人だと言っています。
「収容所を出たら愛する妻が待っている」「帰ったらやりたいことがある」
というふうに自分が生きる理由を持った人は、どのような環境にも耐えられたそうです。
フランクル自身、妻を想うことで収容所生活を乗り越えたそうです。
将来やりたいことがあると「死にたい」なんて思いませんよね
学び
つらいときは、近い未来でも遠い未来でもいいのでやりたいことや目標を作る
生きる意味とは
ここで必要なのは、生きる意味についての問いを百八十度方向転換することだ。わたしたちが生きることからなにを期待するかではなく、むしろひたすら、生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題なのだ、ということを学び、絶望している人間に伝えねばならない。哲学用語を使えば、コペルニクス的転回が必要なのであり、もういいかげん、生きることの意味を問うことをやめ、わたしたち自身が問いの前に立っていることを思い知るべきなのだ。
引用:夜と霧
生きていると、自分の生きる意味とは何なのかを考えてしまうことがあると思います。
ですが、フランクルは
「我々が人生とは何なのかを考えるのではなく、人生が我々に常に課題を与えているのだ。
その課題は具体的な行動によってのみ解決することができる。」
と説いています。
いつ死ぬかわからないつらい収容所生活からフランクルは、
苦しみを受け入れ向き合うことが、現実を乗り越えるために必要だったようです。
つらいことも楽しいこともすべて受け入れることが自分の人生を肯定することになり、
より深みのある人間に成長していくことができると思います。
加えて、人によって育った環境や現状が違うので、
「人生とはこうである」とは一概に言えませんよね
フランクルは他にも、
『それでも人生にイエスと言う』
といった著作を遺しており、「人生が常に我々に課題を与えている」というのは
フランクルが『夜と霧』で一番伝えたかったことなのかなと思います。
学び
あれこれ考えすぎないで、具体的に行動する。
その他の学び
『夜と霧』では他にも、
- 生き続けられない人の特徴
- 苦しみについて
- 感情の消滅
- 政治と宗教について
といった学びを知ることができます。
本書のような、
「極限状態での人間の心理とその変化」
を知れるような本はなかなか存在しないと思います。
ぜひ手にとって読んでいただきたい一冊です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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