勝海舟は江戸〜明治に活躍した政治家です。
坂本龍馬を弟子にもち、西郷隆盛と信頼関係にあった人物です。
本書は、坂本龍馬に「日本第一の人物」と尊敬された勝による談話です。
幕藩体制瓦解の中、勝海舟は数々の難局に手腕を発揮、江戸城を無血開城に導いて次代を拓いた。
晩年、海舟が赤坂氷川の自邸で、歯に衣着せず語った辛辣な人物評、痛烈な時局批判の数々は、彼の人間臭さや豪快さに溢れ、今なお興味が尽きない。
氷川清話
学びの紹介
根気が大事
なに事も根気が本だ。今の人は牛肉とか、滋養品だとか騒ぐ癖に、根気はかへって弱いが妙だ。人間の体は、憲法政治ではいけない。睡眠時間が何時間で、働く時間が何時間、食物は朝は何、晩は何と、さう法律づくめにやられては体も困るワイ。人間は活物だから、気を養ふのが第一サ。気さへ飢ゑなければ、食物などはなんでも構はないよ。今時の人にはこの辺の工夫が必要だ。
氷川清話
「気を養」うというのは新たな気づきでした。
健康に気を使うためには栄養バランスの取れた食事と、睡眠時間の確保が最も大切だと思っていました。
言われてみれば、外的要因よりも心の状態が健康を決めるのは確かだと思います。
世界的に座禅・瞑想が注目されているのはきっとこのためでしょう。
瞑想をすると劇的な変化は感じられませんが、「なんとなく気分がいい。なんか普段より集中力がある」という感じがします。
これが気が充実しているということなのでしょう。
瞑想、続けていこうと思います。
古代ローマのエピクテトスの本にも似たようなことが書かれています。
あらゆる関心は自分の心に向けるべきである
奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業
金が土台
今も昔も人間万事金といふものがその土台であるから、もしこれが無かつた日には、いかなる大政治家が出ても、到底その手腕を施すことは出来ない。見なさい、いかに仲のよい夫婦でも、金が無くなつて、家政が左前になると、犬も喰わない喧嘩をやるではないか。国家のことだつて、それに異ることは無い。財政が困難になると、議論ばかりやかましくなつて、何の仕事も出来ない。そこへ付け込んで、種々の魔がさすものだ。
氷川清和
お金に余裕があると、心に余裕が生まれます。
お金は生きていくための土台です。
いつの時代もお金は大事。
人心を慰安する余韻
当世の政治は、何事でも杓子定規の法律万能主義でやらうとする。それは理窟はなかなかつんでも居ようが、どうも法律以外、理窟以上に、言ふに言はれぬ一種の呼吸があつて、知らず識らず民心を纏めるといふ風な妙味がない。人心を慰安するところの余韻がない。
氷川清和
勝は徳川幕府の政治を例に挙げて、人心に寄り添った政治が大切であると説いています。
徳川氏の政治の極意は、よく民を親しみ、その実情に適応する政治を布くに在つたのだ。そしてその重んずるところは、その人にあるので、法律規則などには、あまり重きを置かなかつた。八代将軍に至りて、初めて諸法度の類も出来上つたくらゐだが、これとてもすべて北条時代の式目が土台になつて居る。それは彼の貞永式目といふものは、深く人心に染み込んで、久しく世に行はれて来たものだから、新に土台から作りかへるよりは、この旧慣による方が、かへつて人心を治め易いといふ深い慮から出たのだ。なかなか注意したものではないか。
氷川清和
現代の政治は、人心に寄り添った政治ができていないように思います。
『氷川清和』ぜひ読んでみてください!
- 人物評
- 政治・時事
- 勇気と胆力
- 明治維新後の世の中
など、他にも多くの興味深い学びがありました。
この記事を読んで興味を持った人はぜひ手に取って読んでみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。