【中国】歴史の深さと人間の生き様を描く。『敦煌』井上靖 感想・レビュー

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こんにちは、masaです。

最近、中国の本に興味を持ち始めました。

今回は、井上靖の『敦煌(とんこう)』を紹介していきます。

今回の記事は、

  • 中国の歴史に興味がある
  • 自分の感覚や思いを大切にしたい
  • インスピレーションを求めている

という人におすすめの内容になっています。

それではさっそく紹介していきます。

目次

井上靖の『敦煌』はこんな内容

  • 中国の史実をもとに書かれた歴史小説
  • 11世紀から12世紀ごろの話(北宋時代:960年〜1127年)
  • 主なテーマは、敦煌市の歴史と莫高窟(モーガオクー)から発見された敦煌文献について
  • 戦争の描写がとても多い
  • 登場人物たちの描写がおもしろい

あらすじ

官吏任用試験に失敗した趙行徳は、開封の町で、全裸の西夏の女が売りに出されているのを救ってやった。その時彼女は趙に一枚の小さな布切れを与えたが、そこに記された異様な形の文字は彼の運命を変えることになる……。

引用:敦煌

簡単な著者紹介

井上靖 ー Wikipedia

著者の井上靖(いのうえやすし、1907年〜1991年)は、日本の小説家・詩人です。

現代小説・歴史小説・西域(中央アジアのこと)小説・自伝的小説など、執筆の分野は幅広いです。

芥川賞も受賞しており、代表作は『闘牛』『風林火山』『あすなろ物語』『敦煌』などです。

今回紹介する『敦煌』は西域小説にあたり、中国の歴史をもとにした小説になります。

学び1:敦煌の由来と歴史

シルクロード ー Wikipedia

 沙州一帯の地はその後何百年かの間に度々所属と名称が変わった。宋の時西夏に属して州名を失ったが、その後元の時代に再び沙州となり、明に至って沙州衛となり、清の乾隆年間には敦煌県となった。敦煌とは大きく盛んなる意味で、往時両漢、隋時代の西方文化東伝の門戸として、この地が文化燦然たるものがあった時代に使われた名前で、それが二千年後に復活したわけであった。

引用:敦煌

敦煌は、シルクロードの分岐点として発展してきたオアシス都市です。(画像中央右)

中国より西側の文化の出入口として古くから重要な役割を担っていました。

本書は『敦煌で歴史ある書物が発見される』という切り口から、中国の歴史の膨大さを感じ取ることができます。

masa

膨大な歴史の中に僕たちは生きています。

学び2:自分の意思に素直に生きる

 ああ! と思わず行徳は低い呻き声を洩らした。開封が懐かしかったのでも、そこの上をもう一度踏みたいと思ったのでもなかった。そこまでの何千里かに及ぶ遠さを思った瞬間、眩暈のようなものが突然行徳を襲ったのであった。開封からなんと遠く離れた土地にいま自分は居ることか。どうしてこのようなことになったのであろう。

 行徳はそれからずっと、いま自分が横たわっているこの場所に来るまでの長い過ぎ去った時間を遡り辿ってみた。併し、そこには自分の意思の不自然な動きもなければ、意志以外の何物の強引な働きかけもあるようには思われなかった。水が高処より低処へ流れるように、極く自然に自分は今日まで来たと思った。

引用:敦煌

主人公の行徳は、最初から最後まで自分の中から湧き上がってくる意思に従って生きていきます。

また、悪い出来事が待っているとわかっていても突き進んでいきます。

生きることとは、どんなことがあろうと自分の意思に従って生きていくことであるというメッセージなのでしょう。

masa

どのような運命でも受け入れていくこともまた、生きていく上で重要な気がします。

学び3:主人公の死生観

(主人公行徳のセリフ)

「別に生きるとも死ぬとも考えていない。いままで戦に臨んだ時と同じだ。自分にどういう運命がやって来るか判らない。進んで死にたいとは思わないが、格別生きなければならなぬこともない」

(中略)

 生きるか、死ぬかは全く自分の与り知らぬことである。行徳の眼にふと、何年か前に開封の城外の市場で見た、板の上に横たわって身売りをしていた裸体の女の姿が浮かんで来た。あの女の持っていた、死を死とも思わぬ太々しい態度を思い出すと、行徳は勇気のようなものが自分の身内を充たして来るのを感じた。

引用:敦煌

本書は小説であるため、登場人物たちの性格は架空のものです。

しかし、彼らの生き様には心打たれるものがあり、今を生きる僕たちにも通じるところがあります。

本書のメインは中国の敦煌市の歴史と書物ですが、登場人物たちの生き様も筆者が伝えたいメッセージの一つなのだと思います。

masa

主人公の行徳が、序盤の出来事を回想している場面です。序盤からかなり衝撃的なシーンが多く、物語に一気に引き込まれました。

まとめ:井上靖の『敦煌』をぜひ読んでみてください!

本書は、話のテンポの良さと登場人物たちのはつらつとした描写が相まって、どんどん読み進めることができました。

中国の歴史だけでなく、登場人物たちの生き様からも学べるものが多くあるのでとてもおすすめの一冊です。

僕は実際に読んでみて、井上靖の他の作品とはまた違った雰囲気が味わえたのがおもしろかったです。

この記事を読んで興味を持った人はぜひ手に取って読んでみてください。

映画もあります。

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